グレーチェック×ゴールドベージュの挑戦
MICHELE&shin 2024AW の一つ、MARINI と NICORO から頼まれたスーツとコートの紹介です。
本当に難しい組み合わせをしたものだと、この時は思いました。
ライトグレーのグレンチェックにゴールドベージュの組み合わせは、本当に難しいと思います。
MARINI と NICORO と打ち合わせをした時、「王道の組み合わせで目立つ色なら誰が着てもお洒落に見えるけど、今回は少し冒険した色合わせにしたいね。このコートの素材感と色は抜群に気に入っているから、あとは何色のスーツで合わせるかだな」と言いました。
イタリアの王道なら、アズーロ・エ・マローネ(茶×群青)で、ネイビースーツを合わせるのがセオリーです。なのに、「このグレンチェックを合わせてみるか?」と提案しました。「じゃあネクタイは紺色で合わせたらいいね!」と言うと、「それは分かるけど、面白くないね。ネクタイは後で考えるよ」と返されました。イタリア人は年を重ねてもお洒落を冒険してきます。流石、イタリア紳士です。
ダブルロープドショルダーを勧めてみました。
MARINI と NICORO がせっかく冒険するならと、この肩付けを提案しました。MICHELE&shin お得意のダブルロープドショルダーです。パッドを入れず、肩先だけに綿を入れて作成します。本当に難しい肩付けで、英国調の肩パッドで固く形を作るロープドショルダーに比べて、柔らかく、そして構築的な肩付けをしなければなりません。肩の外側にはナポリらしい、マッピーナと言われるギャザリングを入れます。イタリアのロープドショルダーの一つの形です。
「MARINI、NICORO…せっかく冒険するならこの肩付けどうだい?最高にカッコイイよ。」と言うと、「いいね!Michele が作るダブルロープドショルダーは知ってたけど、初めてだな…やってみよう」との返事がありました。しかし、いつも思うのですが、イタリア紳士と話をすると、まずは肯定的な話から入ります。たとえ気に入っていなくても、まずは「いいね!ベリーシモ」と言い、「でも俺はこのほうが好きだな」と続きます。これは新しいデザインや新しいものに対するリスペクト(尊敬)が基本にあると感じます。
イタリア紳士のファッションを保守的と言う人もいますが、決してそんなことはなく、守るものは守りつつ新しいことにチャレンジする姿勢があると思います。そうでなければ、あんなチャレンジングな車のデザインが出てくるはずがありません。最近ではおかしなデザインの車はあまり見られませんが、一昔前には、私が見ても「いかれたデザインだな」と感じる車がイタリアから出ていました。新しいデザインや概念にリスペクトする文化が根付いているのです。
今回のダブルロープドショルダーです。外側に柔らかく入るギャザリングが決め手です。長くなったので、ここからは写真をご覧ください。
アルノ川をバックに。赤を合わせてきたか…脱帽です。
ライトグレーのグレンチェックにブルーのウィンドペンです。MICHELE&shin オリジナルファブリックです。
MICHELE&shin オリジナルファブリックのゴールドベージュのダブルチェスターです。
今回のスーツとコートはいかがでしたか?グレーとゴールドベージュの組み合わせ、カッコイイ組み合わせです。ぜひ参考にしてください。