本当のクラッシックナポリへの道(6)
台場仕立ての噓
MICHELE&shin のスーツは基本、総裏で台場仕立てで作ります。総裏とは上着の裏(内部)全てに裏生地を付けて縫う仕様です。日本の夏でも MICHELE&shin は総裏が良いと考えてます。
世界的に見ても異常に暑い日本では、湿度が 80%を超える日が出るほど、尋常で無い環境だと言えます。そんな過酷な環境は人だけではなく、当然、洋服にも過酷な環境で、気温40°Cで湿度80%なんて言ったら、ほぼ低温サウナ状態となり、当然だくだくと汗は流れます。そんな過酷な環境だと当然スーツの痛みは激しくなります。そこで登場するのが裏生地です。裏生地無しの作りもありますが、MICHELE&shin の考え方は、「過酷な環境から少しでもスーツと生地を守る」があり、当然裏生地を付けてた方が生地とスーツを守ります。ある意味クッション的な意味合いもあるのです。
そんな裏生地の付け方で、「台場仕立て」と言うのがあります。
このように内ポケットの所を、表布で囲って作ってるやり方を台場仕立てと言います。
この台場仕立てですが、今まで、「高級な仕立てはこのお台場仕立てで、イタリアから始まった」と思い込んでいました。当然、今 MICHELE&shin は全ての商品を台場仕立てにしてます。しかし、今回、今までの常識が色々違う事に気付かされ、この台場仕立ての歴史も色々聞いてみる事にしました。そうすると「台場仕立てはミケーレがしつこく言うからやってるけど、実際ナポリの高級サルトリアでは、台場仕立てはほとんどやらないし、多分海外向けの商品で作ってるイメージだね」と。それはある程度知っていました。超有名
なサルトリアに遊びに言っても、台場仕立てになってる物はほとんど無いのです。しかし、台場仕立てが高級サルトリアのイメージの惰性でなんといなく作ってたです。
何かの刷り込みで、「昔、裏生地の性能が良く無い時代に裏生地が摩耗した時、簡単に裏生地を替えれる為にこの台場仕立てが出来た。」と思ってました。しかし、実際は裏生地を替えるのは本当に手間がかかります、僕の感覚ですが、どちらもそんなに手前はかわらないのです。
この仕立てが MICHELE&shin の仕立てです。下のタバコポケット迄台場にしてます。
この仕立てがナポリのサルトリアでよく見る仕立てです。
両方見比べると違いが良く分かります。
どうも聞くと昔からこの仕立てがナポリスーツのベーシックな仕立てらしいのです。職人は言います「昔からナポリのサルトリアは、なるべく布生地を少なく作りたいんだ、だからこの仕立てになったんだ、それとシンプルで綺麗じゃん。」と。だんだんクラッシックナポリスーツが見えてきました。
歴史に残る洋服のデザインは、誰かが頑張ってデザインしたもので無く、自然に生活の中から生まれたものの様な気がしてきました。
もっともっと歴史を本当に勉強しないといけないですね。
次は、「MADE IN ITALY」の秘密を紹介します。是非楽しみにしといて下さい。