本物のクラッシックナポリへの道(2)
重ねボタン、いや1つボタンです。
ナポリスーツの歴史ブログの 2 回目は袖口のボタンの話です。今まで MICHELE&shin のスーツ袖口のボタンは「重ね 4 つボタンか 3 つボタンか重ね無しの 4 つボタンか 3 つボタン」でした。しかしどうも違うみたいなのです。
「ミケーレ・・・日本のオーダーは袖口にボタン沢山付けるよな。更に重ねたりして?何故なんだ?」「クラッシックな本当のナポリスーツは1つボタンだよ。」と。そうなんだ!びっくりです。たまにデザイナーブランドなんかで、袖口が一つボタンのは見たことがありますが、ナポリのサルトリアではあまり見たことがありません。
今、現地、ナポリの評判で最高のクオリティーのナポリスーツを作る事で有名なピロッテイに遊びに行った時も 4 つボタンか 3 つボタンを重ねてました。確かダルクォーレのオヤジもそうだったはずです。なのにクラッシックナポリのスーツは袖一つボタンらしいのです。確かにカッコイイけど・・・・。
そこでその理由を聞いて見る事にしました。
ボタンホールはボタンホール屋で縫うのがナポリ流。だから1つボタンになった。
MICHELE&shin があるナポリ郊外では、ボタンホールは基本外注になります。ボタンホールはを縫うだけの工房があり、そこで地元のお母さんがボタンホールだけを縫ってます。
これが看板も何も出てない普通の家で、地元のサルトリアしか絶対分かりません。昔の映画に出てくる様な光景で、「ミケーレ・・・私にトマトスパゲティを作らしたらボタンホールより上手だよ(笑)」なんて冗談を言いながら、少しふくよかなイタリアンママが、みんなで仲良く縫ってくれます。どうしても急ぐ時は、電話すると直接工房に来てくれて縫ってくれたりもします。基本、大きな工場等は自社でボタンホールの縫子を雇ってますが、小さな工房のサルトリアはボタンホール屋に持ち込んで縫ってもらうのです。
残念な事にこのボタンホール工房の写真がないのです。今度現場の写真を撮っときますね。
だから1つボタンになった。
そこで聞いた話が、「ボタンホールを縫ってもらう金額は、当然だけどボタンホールの数で決まるんだ。
だから少ない方が安くすむだろう?」「昔からナポリは貧しんだ。分かるだろ?ボタンを多く付けてるのは、お金持ちなんだ。」と・・・そう言う事だったんです。
「1つボタンを見ると嬉しくなるよ。本当のナポリの昔を知ってるなってね。」と。
本当にクラッシックナポリのジャケットの袖口のボタンは1つボタンなのです。
今回は袖口のボタンの話でした。
本当のクラッシックナポリのスーツは1つボタンです。是非参考にして下さい。