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本物のクラッシックナポリへの道(4)

2024年06月14日

ダブルステッチはラグジュアリーではなくスポーティー


今回のブログは、ナポリスーツと言えばのディテール、「ダブルステッチ」についてです。

ナポリスーツの代表的なディテールの一つに「ダブルステッチ」というものがあります。

ステッチをダブル(2 列に入れる)に入れて作るディテールの事を言います。

このダブルステッチの入れ方も各サルトリア毎に色々で個性が出ます。

実は MICHELE&shin のダブルステッチも現地では他のサルトリアより多くの場所に入れてるとよく言われ個性的でいいね!とよく言われます。

このダブルステッチですが初めの頃、職人との喧嘩の原因の一つでした。「みんな、この腕の所もステッチ入れたら良くない?」暫くして「前に見たんだけど、肩にもステッチ入れたら良くない?」そして「パンツのラインにもステッチ入れたら良くない?」と出来る限りステッチ入れようと打合せすると、「ミケーレ・・・いい加減にしろよ、そんなに入れて何の意味があるんだ?めんどくせーな・・・。」でもここは負けません。「いやいや絶対カッコイイし、他はここまでやってないからやろうぜ。」と

「ミケーレ・・・意味無いって・・・。」

なんていうやり取りをしながら、MICHELE&shin が考える最高のラグジュアリーのダブルステッチのスーツになってるのです。

ナポリスーツは手縫いのステッチ

ナポリのサルトリアスーツのステッチは手縫いです。手縫いに見せてる機械縫いのステッチも実際にはナポリにも存在しますが、それは安い工業製品のスーツでサルトリアのスーツで見たことがありません。何故か人の温もりを大切にするイタリア。こんなステッチ一つにも出ます。

このイタリアの人と人の温かみみたいな話を少し書きます。イタリアでは食事でもコーヒーショップでもショッピングでもガソリンを入れる時でも、必ず店員さんに「チャオ」とか「ボンジョルノ」とかと挨拶はします。絶対します。御客様と店員との上下関係みたいなのがあまり存在しない様に現地にいて、そう感じます。同じ人と人って感じです。たまに上から目線の奴もいますがそれでも挨拶はします。

例えて言えば日本だとコンビニエンスストアに行って店員さんに「こんにちわ」とかあまり言わないですよね。でもイタリアではどこに行ってもまず「チャオ」(日本語だと、こんにちわ、かやあ!)の挨拶はします。しないと気持ち悪い感じだし、どこか店にいずらいぐらいです。店員さんも何かしら、必ず「チャオ」と返事が帰ってきます。日本は日本で侘び寂びの様な素晴らし文化があり、土足で相手に踏み込まない配慮を感じますが、イタリアの人対人の距離感の感じは全く違います。だってイタリアの挨拶は男女問わず、

ほっぺにキスが基本ですからね。

そんな人の温かみを大切にするイタリアです、ステッチは手縫いに拘ります。

ダブルステッチはスポーティー

実は今まで MICHELE&shin は「ステッチは入れる程ラグジュアリーで高級になる。」と

の認識で作ってきました。しかしこの認識が少し違うみたいなのです。

昔のナポリでは「ステッチは補強の為に入れる物で、入れれば入れる程スポーティーになる。」らしいのです。でも手縫いでステッチを入れるのは本当に手間のかかる作業です。何故かと聞くと、「昔からナポリの服職人は地位が低く、賃金も少なかったんだ。今でこそ少しナポリスーツが世界的に認められ、少し賃金も良くなって来たけどね。だからステッチなんか価値がなかったんだ。」と「昔からナポリは貧しい、だからそんなに服が買える訳ではなかったんだ、そこで補強の意味で始まったんだ。だからステッチが入るとカジュアルでスポーティーになるんだ。」と。

知らなかった情報です。

でも MICHELE&shin は入れます。

新しい発見です。でも MICHELE&shin はまだまだダブルステッチを入れます。こんなに手間がかかり美しいディテールは他にありません。ナポリスーツならではの美しさです。

昔はカジュアルでスポーティーだったかもしれませんが、MICHELE&shin が考える今のラグジュアリー(高級)は人の温かみだと考えます。

クラシックナポリのスーツのダブルステッチがカジュアルでスポーティーだったのです。